待ち望んでいたもの
ちょっと昼寝しよう、と寝たのが間違いだったのか。それとも正しかったのか。
目が醒めたらそこは、見知らぬ部屋でした。
ガバっと起き上がれば、奇妙としか言い様が無い品々が置かれている。
正直言って、趣味が悪い。そこまで考えて、はたと気付く。
ここは、何処だっけ…ホントに何なの、ここ。
奇妙なベッドから降りて、窓に近寄る。
外には、海辺と森が広がっていた。
まるでザビー城みたい、なんて考えたその時、背後から声がした。
「オーウ、エンジェル!気がつきましたカー?」
「っ!?」
…ありえない。言っている内容もだが、その言っている相手もありえない。
そこにはザビー張本人がいた。
って、ことは、BASARAの世界にきたのか。まさか、ホントに?
「聞こえてマスカー?」
「あ、はい…大丈夫、です」
ザビーの話によると、私は空から降ってきたらしい。野菜畑にいるザビーめがけて。
そういえば身体が痛い気がする。そんな私をよそにザビーが濃ゆい顔を傾げて言う。
「お名前は、ナンデスカー?」
「です」
「、ネー。ザビーしっかり憶えたヨー!」
「はぁ。それで、あの、エンジェルってどういうコトで…?」
聞くところによると、空から降ってきた私は天が遣わしたもうた“エンジェル”なんだそうだ。
いや、私は人間なんだけど…。
「あの、私は違「オオウ、ザビーいい事考えチャッター!」
彼は訂正の言葉なんざ聞いちゃいなかった。
「今日からは、我がザビー教のマスコット、ネー!」
「は…マス、コット?」
その言葉は、イメージキャラクターとかそういうものの事を指し示すわけだが、
「あの、それでどうすれば良いんですか?」
「は、居てくれるだけでいいネー。笑顔で手をフッテ、皆を励ませばそれで解決ヨ!」
「…」
なんか…やだな、そういうの。そんなの私のポジションじゃない。
でも、此処を出た所で宛てなどないし、のたれ死ぬのがオチだから。
「―――――わかりまし、た」
私は、頷くしかなかった。
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