出会いは偶然?必然?どうだかね







長曾我部元親を見つけて以来、こっそりと何度か話に来た。
私は彼を「元親さん」と呼び、彼は私を「」と呼ぶようになった。

元親さんから、捕まる前の世の事情を教えてもらった。
そうして分かったが、どうやらこの世界、かなり複雑だ。


実質、ザビー教が九州・四国・中国を掌握。ついでに、本願寺も乗っ取ったそうだ。
それって三分の一は掌握してるってことだよね、凄いじゃん。

あと驚いたのは、連合軍なるものが出来ているってこと。
伊達・武田・上杉・徳川が手を組み、連合軍を作っているそうだ。
目的は、織田軍と豊臣軍を倒す。


元親さんもそれに参加するつもりだったらしいが、文を送る前にザビー教団に攻め入られたというワケだ。


そして私は、彼に託された文を手にしている。
と言っても彼が言った言葉を私が代筆したものだ。

長曾我部が健在で、連合軍に加わりたいという文。
はたして、向こうが聞き入れてくれるかどうかはわからない。
でも、試す価値はあるとのこと。


しかし、どうやってこの文を出すというのか。
その辺の信者に渡すわけにもいかないし、困った。


そんな時にオレンジ色のツンツンヘアーを見つけたのは、救いのようなものだった。
どんどん先に進んでしまうその頭に、意を決して話し掛ける。


「あの!」


すみません…、と声色は尻すぼみになったが、相手は振り返ってくれた。
何で俺?みたいな表情を一瞬見せ、それから「何でしょうか?様」と相手は答えた。
なるほど、ザビー教団に侵入していたらしい。私の挨拶も聞いていたのか。

っていうか、敬語似合わないなぁ!猿飛佐助、さん。


「様はつけないで下さい。…あの、お願いがありまして」

「お願い?」

「これを、『竜』に渡して欲しいんです」

「…やだなぁ、様。竜なんて居るワケないじゃないですかー」


軽い口調でそう言うが、目は笑っていない。何故バレたのだ、と物語っている。
ついでに言うと、様付けはやめてくれなかった。けど、今はそんな事どうでもいい。


「…お願いします。『鬼』さんからの大切な文なんです」


ぐい、と押し付けるようにして渡して逃げた。





戻る 次へ